バトルシップ

はははははははは、ははははははは!
は~あ。ふぅ~(あほらし)。(^m^)

まったく好みではないが、アレックス・ホッパー役のテイラー・キッチュは、主役を張るだけあってチャーミングで比較的背が低いところも可愛く思えてなかなかよかったし、ナガタ(浅野忠信)とか提督(リーアム・ニーソン)とか有名どころの俳優も出演しているし、全体のコメディ的乗りもよかったし、宇宙人の造形も気に入ったし、世界中がメチャクチャにされるのも面白く、わけのわからん敬老精神の発揮も肯定的に楽しんだけれど、演出にキレがないのが映画をつまらなくしている(と思う)。
冒頭、アレックスが一目惚れの彼女のためにコンビニにチキンフリットを買いに行く場面などモタモタしすぎなのだ。どうして、サクサクッと1、2分でまとめないのか。だけど、この初っ端のもっさり具合のお陰で、そういうゆるい演出で行くのねと、こちらもギアチェンジできたのでよかったのかもしれない。

BATTLESHIP
監督:ピーター・バーグ
(2012/04/20 TOHOシネマズ高知5)

アーティスト

『ヒューゴの不思議な発明』はワクワクして大変面白く大好きなのに、『アーティスト』はつまらないわけではないが大した感慨もなかった。どちらも過去の映画に対して敬意と愛情があるのだろうに、『アーティスト』については私はそれが感じ取れなかったということか。
『アーティスト』は、思ったとおりの展開で話に面白みがあるわけではない。だから、モノクロ無声のシーンの情感が大切なのだが、ペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)とジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)のやりとりの良いシーンは(初共演のときと階段ですれ違うシーン以外)全部予告編で見ている。(予告編では本当に感動した。)

この映画は無声映画の様相を呈しながら、二カ所で音を付けている。初めはジョージの夢。トーキーへの変換期の俳優の不安と精神的圧迫が上手く描かれているとは思うが、私には心臓に悪い音響だった(最初のコップの音だけでなく、覚悟していたはずの羽の着地音もダメだった)。
そして、ラストシーン。ペピーとジョージの二人いっしょの出発を、映画が音を得た新たな幕開けと重ね合わせたかのようなシーンだった。だけど、映画はその後、次々と技術的な革新を経ているのだ。「今」にどうつなげるのだろう。そんなことを思いながら観ていたので、「今」につながったように思えなかった『アーティスト』は懐古趣味だと片づけてしまった。

アル・ジマー(ジョン・グッドマン)/クリフト(ジェームズ・クロムウェルン)
※午前十時の映画祭のときからの疑問が解けた。TOHOシネマズ高知はスタンダードに対応したスクリーンがない。

THE ARTIST
監督:ミシェル・アザナヴィシウス
(2012/04/10 TOHOシネマズ高知5)

ヘルプ~心がつなぐストーリー~

感動した~。
コンスタンティン(シシリー・タイソン)の表情を思い出すと涙が出そうになる。
少女時代のスキーター(エマ・ストーン)に柳の木の下で教え諭すときと、解雇されて去るときスキーターの背丈を測った柱の傷をながめる表情。はぁ~(涙)。コンスタンティンは、当の昔からスキーターの母シャーロット(アリソン・ジャネイ)は、自分を持たず流される人とわかっていたので、解雇されたことを恨みはしなかったと思うけれど、我が子のように思っていたスキーターに会わずじまいはとても悲しかったと思う。
というわけで、黒人女性のお手伝いさんが、白人の子どもを育ててきたという、黒人差別について新たな視点の物語をコメディに仕立てているうえ、一人息子を亡くしたエイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)、暴力夫に耐えるミニー(オクタヴィア・スペンサー)、流産経験のあるシーリア(ジェシカ・チャステイン)と女性の連帯映画にもなっていてとても面白かった。コメディの立役者、ヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)とミセス・ウォルターズ(シシー・スペイセク)にも拍手。

THE HELP
監督:テイト・テイラー
(2012/03/31 TOHOシネマズ高知5)

ヤング≒アダルト

映画史上まれにみるバカ女登場!フェミニスト(フランス系)である私は、女性映画もここまできたかと少々の感慨を覚えた。

メイビス(シャーリーズ・セロン)は、ゴーストライターとはいえテレビドラマの脚本家(原作者?)なのだ。それなのにどうして、バディ(パトリック・ウィルソン)の気持ちが読めないのか。バディを見れば、妻子大事は一目瞭然。脚本家として、その観察力・洞察力のなさ、バイヤスのかかり具合の甚だしさはどうなのか。バディにモーションを掛けると彼もフラッとなる場面があるが、これでメイビスの勘違いに拍車がかかる。これって、今までは男性キャラの専売特許ではなかったか。いやいや、やりたい放題、言いたい放題の自己中心的バカッぷりは、これまでの男性キャラをも凌駕している。

しかし、私はメイビスの特異性はこれだけではないと思っている。彼女の頭上、3、40センチのところにもう一人のメイビスがいるのだ。もう一人のメイビスは、無自覚にバカをやっている自分を冷静に見ている。バカをやっているメイビスは、もう一人のメイビスに気づかないまま、突然、方向転換したりするが、それができるのは、頭上3、40センチのメイビスが存在するからこそだ。私の感覚では、そういう気がしてならないのだが、これをまとめて平たく言うと、結局、彼女は自覚的に生きているということになると思う。
どんなバカなことも自覚して言うし行う。そして、その結果はすべて自分で引き受け、(堪え忍ぶことはしないで)転がり続ける。風に吹かれてローリングストーン(笑)。それがメイビスだ。

だいたい30過ぎたいい大人に、誰が真面目に忠告してくれるだろう。メイビスの合わせ鏡的存在マット(パットン・オズワルト)くらいなものではないか。両親ですら触らぬ神に祟りなしだ。自活できる収入があれば、大人は自由である。何週間掃除をしなかろうが、行きずりでセックスしようが、友だちの子どもの誕生日を滅茶滅茶にしようが、人の気分を害そうが、自分も傷ついて人から嫌われるとわかっている人に言うべきことがあるだろうか。
自分で気づくかどうか、方向転換するかどうか。自らを見つめる目と自らの意志が問われる。自立の道は厳しいのだ。

YOUNG ADULT
監督: ジェイソン・ライトマン
(2012/03/31 TOHOシネマズ高知8)