とさピクシアター

9月6日(金)から9月10日(火)まで上映中の『大いなる不在』を観るため、シネマ四国が運営しているとさピクシアターへ本日、初めて行ってきました。友だちからリクエストがあったので、どんな感じかレポートします。

とさピクシアターの場所は、高知駅から東へ歩いて10分くらいで、駅前の通りをひとつ北へ入った住宅街。隣には小さな公園があって早くも彼岸花が咲いていました。

駐車場

とさピクシアターには駐車場がないので、一番近いと思われるTimes(高知北本町)に目星をつけていましたが4台しか駐車できないので、満車の場合、とさぴくシアター周辺パーキングに案内のあった高架下かその付近のデイパークに駐めようとグーグルマップでシミュレーションしていました。最悪の場合、いつも隙隙の高知駅の駐車場に駐めて歩こうと思っていましたが、Timesに駐車できました(ラッキー)。そこから歩いて2、3分でとさピクシアターです。グーグルマップでは狭い道のように感じましたが、軽自動車なら余裕で行き違いができるくらいに感じました。Timesが満車ならこの道を通って高架下のデイパークへ行けそう。

とさピクシアター

シアターのとおりまで来ると映画の立て看板や目印の旗が立っているのですぐわかりました。youtubeで見たとおり1階にお手洗い、2階で靴を脱いで受け付け、3階がシアターとなっていました。階段は急です。手すりありで一人通れる幅(三尺道のよう)。2階で受付を済ませてお手洗いに降りてくる人2名と階段の譲り合いです。
平日の昼間(1時から)の上映に行ったのでシニアの方々が大勢。22席あるそうですが、ほぼほぼ埋まっていたような気がします。先日、高知新聞で紹介されたし、藤竜也だもんね!
本編が始まるまでは、スクリーンにとさピクシアターをはじめ、県立文化ホールの事業や他の自主上映の予告編がどんどん映されていました。
椅子は意外に座り心地がよろしく、音響にはびっくり。始めの方でお腹までズンズンと音が響くところがありました。あんまり音が大きいと私は瞼がピクピクなるのですが、そこまでではなかったです(安堵)。ただし、ホラーでもない『大いなる不在』にビックリして2回くらいは飛び上がりました。次に行くときは耳栓を持って行こうかな。

おとく情報

前売り券や予約などで当日一律料金(今日は1,800円)よりはお安くなるようです。また、LINEの公式アカウントを友だち登録すると、上映会の情報はもちろん、予約ができたり、とさピクシアター上映作品を6回観ると1回無料になるポイントカードサービスもあるそう。さっそく登録しました。

【道案内】高知駅からとさぴくシアターまで(2分31秒)
【潜入】とさぴくシアターへようこそ(2分27秒)
【トーク】とさぴくシアターができた理由(3分50秒)

瞳をとじて

『瞳をとじて』の感想を毛筆で書いた画像

探し物は何ですか

青年と老人(同一人物と思う)の背中合わせの白いトルソーを見て、ああ、これは時間に関する作品だなと思ったら、時間と記憶と人(自分を含む)探しの作品だった。
美しく詩的でとてもよかったのだが、案の定うとうとしてしまい、もう一度観に行く気にもなれないのでアトランダムに。

・瞳をとじると見えないものと見えるものがある。内面を見ること。
・ヴィクトル・エリセ監督は『ミツバチのささやき』でフランケンシュタインを登場させたこともある映画好き。今回、映画愛が横溢。フィルム、映写機、映画館。
・「ドライヤー亡きあと映画に奇跡はない」って、カール・ドライヤー作品はジャンヌ・ダルクのやつと『奇跡』を観ているけど、やたらと美しいモノクロームで凄くよかったという記憶のみ。もういっぺん、心して観たいではないか。
・自分さがしは若者の特許ではなかった(びっくり)。老年には老年の自分があるのだろう。いや、老年とくくるのもどうか。
・人は移ろうがフィルムは時を越える。
・レンタル倉庫は過去。海辺の住居は現在。閉ざされた映画館から未来が始まる(?)。
・ミゲル(主人公の映画監督)の友だちでフィルムを保管していたおじさん、ナイスなキャラクター。
・涼しくなったら寝不足は解消される見込み。
(2024/09/01 あたご劇場)

容堂印譜

冊子「へそまがり大名の自画像 容堂印譜」高知県立高知城歴史博物館の表紙画像

5年前から買っときゃよかったと気になっていた冊子を手に入れた。幕末の土佐藩主、山内容堂の雅印124顆(未完印3顆を含む)の原寸大の印影と印面及び外観の写真に印文の読みと短い解説がついている。側款の拓影はないが款文は掲載されている。

尾本師子学芸員による巻頭の一文「へそまがり大名山内容堂の雅印についての一考察」も面白くためになる。藩主の子は江戸で育つが、容堂は分家の子だったので土佐生まれ土佐育ち。容堂を絡めて幕末のごちゃごちゃも簡潔にまとめてくれてあり助かる。文人、容堂の解説にあたっても、和漢の古典に通じた教養があり、漢詩・漢文・中国風の山水画・人物画をモノするのが文人であり、当時の支配階級などに(武士や町人まで文人に憧れる人も)大勢いたとことがわかった。そして、容堂が依頼して作った印の印文などから、酒飲みのへそまがりという人物像が浮かび上がるので冊子の副題は「~の自画像」というわけなのだ。幕末の殿様は「いごっそう」だったのね。

うえの画像の右上の印影は「厳璋之章」。厳は字として使用しており、「厳しい」でも「厳か」でもなく、現海南省北東部にある樹木の名であり、この木は水に浸すと酒を生じるらしい。璋は名前として使用しており、玉器の圭を縦半分にした玉器で才智不完全を意味するとのこと。章は印のこと。

そのすぐ下の印影「酔中真味」は、酔いの中にこそ人生の真の味わいがあるという意味。更にその下の「美禄」は漢書中の「酒は天下の美禄なり」から。一番上の縦長の印「酒非丹醸不可酔水非鴨河不可飲」は、「酒丹醸(伊丹)にあらざれば酔うべからず、水鴨河(鴨川)にあらざれば飲むべからず」で土佐藩の篆刻家、壬生水石の刻。

表紙画像の中で一番大きな印影「学書者紙費学医者人費」は、「書を学ばば紙のかかり、医を学ばば人のかかり」と読み下し、書の上達のためには紙を沢山使わなければならず、医術の上達のためには患者を大勢死なせなければならないという意味で、北宋時代の文人、蘇軾(蘇東坡)の「墨宝堂記」からとった容堂お気に入りの詩句とのこと。5年前は書道に入門する前なので蘇軾なんて知らないから、買うのが今になってよかったかも。

安政の大獄で蟄居中は「武陵罪人」なんてのを使用したり、ドラマで見る蟄居とは違って余裕?

印材は鶏血石、水晶、銅、竹の根などで、鈕(判子のつまみ)が獅子などの動物や羅漢だったり、薄意(表面の彫刻)は全面に蓮の葉や花が施されていたりで財力を感じる。また、金襴の仕覆や箱が付属しているものが多く、仕覆の底面や箱に白絹を貼って印の材質、鈕の形、印文、刻者名の書き入れがあるという。

昔から判子やスタンプが好きだった。三個のスタンプが毎月送られてくる通販を契約したこともあったし、年賀状などのハガキの落款用に喜々として既製品を買ったり、書道を始めてからは落款印、他にもほしい~と思う。だけど、判子って立体立体しているからなぁ。(文鎮の類いの文房具が部屋のあっちこっちに転がっているのに(^_^;。)立体でも帳面ならまだいいかと思う。御朱印や県内の博物館などのスタンプを集めるのは楽しそうだ。ただし、定規を当てても直線が引けない粗忽者が、きれいに判子を捺せるかどうか。かすれた印影のスタンプ帳を見るのはゴメンだ。

「一捺入魂」と毛筆で書いた画像

岡田祭り

好きには違いないが、なぜか好きとは言い切れない岡田くん。微妙に好きな岡田将生くんが出演した作品を観て暑気払いを行った。挙げ句の果てにインスタグラムまでフォローしたので、これは好き♥になったと言うべきだろうか。何か抵抗のようなものがあるけれど。
たくさん観た中で、もう一度観たいお気に入りをピックアップ。

【主演映画】
ゆとりですがなにか インターナショナル(2023)
セクハラ・パワハラ、日本で働く外国人、ネット通販などなど、時事ネタ満載、かつ、夫婦や家族の話になっている傑作コメディ。松坂桃李、柳楽優弥、安藤サクラ、仲野太賀ほか、役者がそろっている。

重力ピエロ(2009)
これも家族の話。兄が弟を受けとめる。感動したので感想を書いた。

僕の初恋をキミに捧ぐ(2009)
こっぱずかしいタイトルに尻込みしていたが、ドはまり。乙女心は不滅だ。心臓を移植しなければ限られた命の少年を岡田くんが、その初恋の彼女を井上真央ちゃんが演じる。二人とも可愛い。臓器移植について「そうかもなぁ、そうだろうなぁ」と思うところあり。明るくカラッと笑える(微笑ましい)好きな作品だが、30分短縮してもらえれば完璧。

アントキノイノチ(2011)
これも30分短縮してほしい。観てないと思っていたが、終盤の海辺の場面にきて観てたかもと思い、検索してみたら感想まで書いていた。観覧車の場面では、私なら「お元気ですか~(by井上陽水)」と声を掛けると思いながら観ていたが、上記リンク先のコメント欄にまったく同じことを書いていたので自分の変わりなさに驚いた。松坂桃李、染谷将太、仲野太賀が同じクラスの高校生役。この作品は「カタログ将生」と言ってもいいくらい黒将生、白将生、灰将生、コメディ将生の表情がうかがえる。

【脇役映画】
ドライブ・マイ・カー(2021)
もう一度観るには長尺だけれど、劇中劇「ワーニャ伯父さん」のラストシーンはやっぱり感動的だと思う。それに車中での岡田くんの演技は値千金。感想も書いているけど、車中の演技については西島秀俊のことのみ。なぜ!?(西島くんのファンだから、ひいき目なのかも。)

悪人(2010)
動画配信で再見。やはりもの凄く力のある作品だ。記憶にある場面がいくつもあった。ラストショットは灯台の元から夕焼けを見つめている二人(深津絵里と妻夫木聡)のそれぞれのアップで、二人の逃避行は悲しいだけではなく(生きるうえで必要な)美しいものであったんだと思わされ、思い出しても涙がでそうになる。でも、このカット、すっかり忘れていた。苦しくなる作品という思いを刷新してくれたので、再見してよかった。力のある作品は、素晴らしい鑑賞文を生む。間借り人の映画日誌『悪人』のページと、そのリンク先(推薦テクスト)のページも素晴らしい。

天然コケッコー(2007)
動画配信にて再見。原作漫画は未読だが、各エピソードの余韻が、くらもちふさこ作品特有の「間」を彷彿させる。主人公(夏帆)たちが9年間すごした学び舎を卒業するときの郷愁がたまらない。島根県の田舎の、のどかさも方言もよい。

星の子(2020)
感想

【連続ドラマ】
昭和元禄落語心中(2018)
レンタルDVDにて再見。全10話。物語がむちゃくちゃ面白い。名人、八代目有楽亭八雲(岡田将生)が幼少期(子役)から老年期までの大河浪漫。菊比古(岡田)、助六(山崎育三郎)、みよ吉(大政絢)、そして落語の四角関係が一つの見所だ。もう一つの見所は、元ヤクザで八代目に入門した与太郎(竜星涼)と、助六とみよ吉の忘れ形見の小夏(成海璃子)の落語好き具合で、ドラマ全体が落語賛歌になっている。芸能の中で最も厳しい芸が落語だと思っている私としては、描かれている厳しさが想像していたとおりで、それほど詳しくないのに当たっていたことが嬉しかった。原作もアニメも未見なので見当違いの意見かもしれないが、八代目は名人としては少々険しすぎかなと思った。晩年の力の抜け具合はよかったかな。噺家は50代からが本番だ。若手の力みは疲れる(^_^;。

大豆田とわ子と三人の元夫(2021)
全10話。主役の松たか子に魅せられる。その親友役の市川実日子もいい。人との繋がりを描いたコメディだけど、大好きな人との永遠の別れが織り込まれ忘れがたいドラマとなっている。

ザ・トラベルナース(2022)
全8話。中井貴一にハズレなし。短期の雇われ看護師(トラベルナース)が二人、同じ病院にやってくる。仕事はできるが思いやりがない看護師(岡田将生)が、ベテラン看護師(中井貴一)の影響で一人前になっていくバディもの。毎回、ゲスト出演の患者もいいキャラクターで涙あり笑いあり。特に第7話は、癌が転移した若い患者が「ゾンビは生きている」という映画を撮るのをサポートする話で、感動して2回観た。ベテラン看護師の秘密が徐々に明らかになっていくのも毎回楽しかった。

ゆとりですがなにか(2016)
全10話。正和(岡田将生)、山路(松坂桃李)、まりぶ(柳楽優弥)、茜(安藤サクラ)、山岸(仲野太賀)などのキャラクターが立ちまくりで可笑しい。主に仕事についてのドラマになっている。まりぶ、いいよ~(^o^)。まりぶ、好きだな~(^Q^)。

【ベストキャラクター】
『ゆとりですがなにか インターナショナル』「ゆとりですがなにか」の坂間正和さん、大好き♥。彼が一番好きなキャラクターだけど、あえてここは『1秒先の彼』のハジメ君をベストキャラクターにしたい。どちらもチャーミングなキャラだが、正和くんが好青年なのに対してハジメ君はイケズ(笑)。イケズなのに可愛い。岡田くんの演技としては険しいところも鋭いところも全くなくて“ゆるキャラ”なのだが、1秒先を行く彼なのでシャキシャキ小気味よい。


ここまで書いて、これは客観的には「大好きなんじゃないの」と思う。なお承服しがたいが(ぶつぶつ)。

よい俳優の条件は、何を着ても似合い、台詞のないときの表情が魅力的であることだと思っている。岡田くんはモデルなみに何を着ても似合う。汚い格好をした役を観たことがないので、汚い格好が似合うかどうか観てみたい。ちなみに『想いのこし』で女装してポールダンサーをしていたが、これは似合ってなかった(顔も身体も男らしいので女性には見えなかった)。菊比古役で高座にすわり女性を演じたときの方が女らしかった。台詞のないときの表情は美男美女が有利ではあるけれど、美男美女であれば魅力的だというわけではない。岡田くんの場合、憂いと表情筋の繊細な動き(と派手な動きの破顔、あと照明さんのおかげ)によって見飽きることがなく、たたずまいも役によって異なり、やっぱりよい俳優だと思う。