力作。音楽や何やら感傷的に過ぎるとか、人物の表情や衣装がカットで繋がってない感じとか、レレレなところはあるし、飛び道具いっぱいで満身創痍の痛さが伝わってきて私にはキツイところもあったんだけど、こてこてのパワーと俳優の好演のおかげで、まったき娯楽映画の中に革命の真実を見た・・・というと大げさだが、革命に臨む人の気持ちとしては自分のためというより誰かのためにというのが大方だろうなと改めて思った。(誰かのためにという動機による行動は、結局自分のための行動とも言えるんだけど。)考えてみれば、自分のために命を賭けようとは、あまり思わないものかもしれない。もう十年以上前になるけど、ペルーの日本大使館が当地の革命団に占拠されたとき、職場の先輩が「自分だけなら耐えられても、子どももためを思ったら」というようなことを言っていたのを思い出していた。
また、孫文のボディガードが善で、暗殺団が悪という単純な図式にしていないところは、まるで日本の幕末のようだと思った。革命期というのは、様々な思想が入り乱れ信念に基づき行動をする若者が多く登場するのだろうなぁ。でも、この映画では国をどうこうしようというような革命熱に浮かされた感じは少なくて、個人主義っぽい動機でメンバーに加わっていったのが可愛い。(って上から目線?)
最後の孫文の涙には、「泣いてる場合じゃないだろーー!」とすかさず突っ込んでしまったが、もしかしたら、あれは作り手の涙なのかもしれない。これほどの犠牲を払い清朝を倒しても現在、孫文が目標としていた人民の人民による人民のための政治になってない、孫文が見たらきっと涙するぞ・・・・というと、すごく立派な映画になる(ような気がする)。
それにしても、持ち帰ったチラシを見てビックリなのは、“愛と忠義に身を捧ぐ車夫”(ニコラス・ツェー)って、『新少林寺』で線の細い悪役やった人だよね!今回、とっても魅力的。“悲しき過去を秘めた物乞い”(レオン・ライ)って『天使の涙』のどの人よって感じだけど、鉄扇を持ってすっくと欄干に立つ姿に痺れた~!『愛人 ラマン』で軟弱なお金持ちのお坊ちゃまだったのが、“理想に燃える活動家”(レオン・カーフェイ)になってたとは、まったく気づかず。どっかで見たとは思っても『レッドクリフ』の趙雲が、“非情なる暗殺団の首領”(フー・ジュン)に化けてたの~(驚)。素晴らしいお師匠様イップ・マンが、“葛藤するスパイ警官”というと聞こえはいいけど、賭博で転落した男(ドニー・イェン)が板についてた。う~ん、やっぱり香港映画はオモロイなぁ。
十月圍城 監督:テディ・チャン
BODYGUARDS AND ASSASSINS
(2011/11/24 あたご劇場)
タグ: 映画
アントキノイノチ
う~ん、まことに惜しい。海辺のシーンをラストにしていたら、いい落ちだし、繋がって生きることの大切さを最大限にアピールしたまま終われたのに。
とは言え、遺品整理の仕事を垣間見れる面白さと、岡田将生(永島杏平役)と榮倉奈々(久保田ゆき役)という旬の俳優の瑞々しさと、人と繋がる意味みたいなものを感じさせてくれる感動作だった。
原田泰造(佐相役)・・・・イイ声してるね。
岡田将生って本当に良い俳優だなあ。
監督:瀬々敬久
(2011/11/22 TOHOシネマズ高知7)
新少林寺
若かりし頃は勧善懲悪ものを小馬鹿にしていた。しかし、嫌な世の中を見てくると、力で人を制するより慈悲を持って接し心穏やかに暮らそうよという作品にことのほか喜びを感じる。しかも、この作品は、「武力、暴力、憎しみに反対」と言いながら、武闘シーンも楽しめて(いや、ほれ、正当防衛ですから~)、スケール感も茶目っ気もあり、丁寧に作られているので大満足だ。
侯杰(こうけつ)/浄覚(じょうかく)(アンディ・ラウ)・・・・最初はホンマに嫌なヤツで、アンディ・ラウってこんなに嫌な顔だっけと思いながら観ていた。変身してからのお顔の清々しさ(なまんだんぶ)。
曹蛮(そうばん)(ニコラス・ツェー)・・・・悪役としては力不足と思った。
悟道(ごどう)(ジャッキー・チェン)・・・・出演しているとはつゆ知らず。とてもイイ役!ジャッキーらしい役で嬉しい!
辛亥革命百周年記念ということだろうか、革命後に軍閥が覇権を争っていた時期を背景にしているらしいところも面白かった。
SHAOLIN 監督:ベニー・チャン
(2011/11/22 TOHOシネマズ高知8)
インモータルズ 神々の戦い
スティーヴン・ドーフのそっくりさんと思ったら本人だった!小柄で小粒な印象しか持ってなかったので、マッチョなお姿に驚いた。まさか、CGじゃないよねぇ?
ターセム監督は『落下の王国』を見逃したことが悔やまれる。今回、意匠を凝らした衣装やセットやハイスピード撮影(?)など視覚的に面白かったんだけど、暴力的なのとグロテスクなのに辟易してしまった。『落下の王国』ならそういうシーンはあまりないのでは。しかし、『ザ・セル』は内蔵を輪切りにしたようなシーンがあったような気もして、もしかしてグロはこの監督の持ち味なのかも(?)。
テセウス(ヘンリー・カヴィル)
ハイペリオン(ミッキー・ローク)
ゼウス(ジョン・ハート)
スタブロス(スティーヴン・ドーフ)
IMMORTALS 監督:ターセム・シン・ダンドワール
(2011/11/20 TOHOシネマズ高知9)