希望の国

悪くはないんだけど中途半端で力のない映画ができてしまった。いつものようにもっと叫んでしゃべり倒しても良かったのに。ただし、福島のあとの長島の原発事故という設定は、何遍でも欺され学習しない日本人、再稼働を許してしまった日本人という真実を突いていると思う。

よかったところ。
半径20キロメートルで線引きして圏内なら避難させるが圏外ならさせないことのバカバカしさは、笑えるくらいによく描けていたと思う。

長島県の人々に寄り添う気持ちは伝わってきた。
ミツル(清水優)は、両親が行方不明のヨーコ(梶原ひかり)を思い遣り、津波で流されて瓦礫の原となった街をあてもなくさまよう。ヨーコの気持ちの整理ができるまでミツルはとことん付き合う。
妊娠中のいずみ(神楽坂恵)が内部被爆予防のため自家製防護服を着て歩く。夫の洋一(村上淳)は職場で笑われてもいずみの側に立つ。
そして洋一の父、小野泰彦(夏八木勲)は、避難指示が出ても認知症の妻智恵子(大谷直子)と自宅に残る。泰彦を見ていると、死に場所くらい自分で選択してもいいではないかという気にさせられた。

監督:園子温
(小夏の映画会 2013/04/20 あたご劇場)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です