アニー・スウィナトン 145×89cm
ヴィクトリアン・ヌード展
2003年に東京藝術大学美術館で見た。
1 フォーカルポイント(主役)と明暗スキーム
主役はプシュケの顔かなあ。クピドの顔さえ暗くしてプシュケの顔を際立たせているように思う。クピドは準主役か又はW主役か。拮抗するW主役の場合は、二つを結ぶところがあるとのことだから、キスしていることと二人の腕で円を作っていることで、もしかしたらW主役かもしれない。周りを暗くして二人を浮かび上がらせているし、そうかな。どうかな?
2 視線誘導
プシュケの顔から右肩、腕、クピドの首、キスしている頬でプシュケに戻って右肩と腕に再び回って、今度は左腕に行って、クピドの左肘からクピドの顔、そして、また、プシュケの顔とぐるぐる(笑)。三度目のプシュケの顔から右肩に沿った翼を下へ流れてお臍に目が行くとクピドの左の翼の下端から上へ伝ってというふうに反時計回りにグルグル円を大きくしながら隅から隅まで見れそう。四隅も四辺も弓、翼、山の谷、水辺、小石などに守られていて、絵の外側に視線が行かない。中へ中へ向くようになっている。
3 リニアスキーム(構造線と補助線)とバランス
構造線、これがいつもわからないけど、プシュケの頭からつま先の縦の線かな?ちょっとS字っぽい?それでしなやかな感じが出ているのか。補助線を入れると「K」のような感じ?プシュケをクピドが支えている感じでいいんじゃない?空と水でバランスを取って重くなりすぎないようにしている。
4 色(明暗、彩度、色相)
明暗くっきり。コントラストをつけている。二人のお腹の輝きも周囲のくすんだ感じと調和しているってことは、彩度が高いって程ではないのではないかなぁ?輪郭線がないので、溶け合って優しい感じ。翼の青と空の赤が引き立て合っている。茶色と灰色。
5 配置
これまた何をどう見たらよいのかよくわかってないけど、縦横5分割でどうだろう?本を読んでも配置の分析が一番難しかった。
1 フォーカルポイント(主役)と明暗スキーム
これはもうプシュケで決まり、僕には(笑)。引き寄せたい右手と撥ね退けたい左手の加減が宜しい(笑)。明暗スキームは画面右上やや手前からの光と不釣り合いな大きさで広げられた羽によって遮られた影という感じ。
2 視線誘導
僕が誘われたのは、そりゃ、最も光の当たっているプシュケの腰つきからに決まってるんだけど、そこから舐めるように上がっていって閉じた瞼まで行ってからクピドの突き出し加減の口やね。でもって、三本の腕の具合に目が留まると、あれ?もう一本は?となって、なんて長い右腕なんよと笑う。そこから、腕のラインに沿ってやや右上に横に流れて、紫の羽の湾曲に沿ってプシュケの腰に戻る。んで、足を観てなかったと下に降り、ついでにクピドの片足はなんで跳ねてるの?となって、おもくそ右腕を伸ばしたからやと納得(笑)。で、曲げた足のラインに沿って三たびプシュケの腰に戻った。
3 リニアスキーム(構造線と補助線)とバランス
構造線と言われれば、これはもうほぼ垂直なプシュケの立位の縦のラインでしょう。プシュケの長い髪が縦線を強調している気がする。補助線は、羽の描く弧やと思うたけんど、「二人の腕で円を作っている」との指摘に感心。これは観たときは気づいてなかった。羽の色に気を取られたのかなぁ。
4 色(明暗、彩度、色相)
明暗は明暗の対照という感じやね。彩度は僕的にはやや高く感じるな、やっぱ肌の輝きは侮れない(笑)。色相は、色白の肌と紫の羽。
5 配置
これまた、参照コメントからは、何をどう言及すればいいのか、意味不明(詫)。
>引き寄せたい右手と撥ね退けたい左手の加減が宜しい(笑)。
なるほど~!それでクピドの不自然な左腕の理由がわかりました。プシュケに伸ばしたのを拒まれたのか。耳でも痒いのかといぶかしんでおりました(笑)。
主役を囲んだり中央に配置したり大きくしたり指さしたり目立つようにしてる他に、明暗スキームは、主役が明るければ周囲は暗く、暗ければ周囲は明るくというような関係のことらしいです。
そするとプシュケのお腹が一番明るいから、ヤマちゃんがそこに引かれるのは描き手の思うつぼかもしれないですね(^_^)。
>ついでにクピドの片足はなんで跳ねてるの?となって、おもくそ右腕を伸ばしたからやと納得(笑)。
ははは!笑ってしまったけど、本当そうかも。
私はプシュケの長い髪がまったく目に入ってなかったです(゚Д゚)。
1 フォーカルポイント(主役)と明暗スキーム
私は人間については(裸体でも着衣でも)「顔」(特に目)に注目しちゃうので、この絵でもプシュケの顔に目が行くけど…
でも一番明るいのはプシュケの胴体(大腿部まで)だから、もしかしたらそちらが主役なのかも。
2 視線誘導
プシュケの顔に注目すると、2人の腕の作る楕円形を回るかな。
身体の方に着目すると、クピドの翼を下→上→下と左回りに回るかも。
3 リニアスキーム(構造線と補助線)とバランス
メインはプシュケの顔から足までの線かな。(正中線を少し左に逸れてるのもいい感じ)
両翼の傾き具合も強くなくて、お茶屋さんの言われるように「(視線が)中へ中へと向くように」 なってる。
全体として、縦のラインが強調された絵だとは思う。
4 色(明暗、彩度、色相)
肌の色の美しさが圧倒的で、それ以外の部分はその美しさを引き立てるための色合いになってると思った。空の赤も翼の青も、彩度は低めで優しい感じ。
(私もプシュケの髪には気づいてませんでした)
5 配置
よくわからないけど、プシュケの顔から足の線が正中線からズレてるのは、本に出てきたゴッホの糸杉の絵に似てるな~と。(キチンと線引いて測れば、何かわかりそうな気も)
>ムーマさん
やっぱり、人物で目が行くのは顔ですよね。
でも、・・・・
>肌の色の美しさが圧倒的で、それ以外の部分はその美しさを引き立てるための色合いになってると思った。
とお書きのとおりだなぁと思いました。だから、ヤマちゃんがお書きの「最も光の当たっているプシュケの腰つきからに決まってるんだけど」というのも正解かな。そもそも不正解はないものでしょうけど。
実はこの絵をそれほど好きっていうわけではなかったのですが、こうしてあれやこれや書いたり読んだりしているうちに、どこからどうみてもいい絵だと思うようになりました。
>あれやこれや書いたり読んだりしているうちに、どこからどうみてもいい絵だと思うようになりました。
実は私もそうです(^^;
時間かけてるうちに親しみが湧くというか
そこまで好きなわけじゃなかったのに
今じゃあ「綺麗な絵やなあ(惚れ惚れ~)」って。
ムーマさんもそうでしたか。なかーま(^_^)。
肌色や肌を引き立てる周囲の色の美しさといい、細かいところまで繊細に描かれていて柔肌まで伝わってきますよね~。