アナザーラウンド

デンマークでは飲酒問題があるのだろう。飲酒の功罪についての映画でコメディ仕立てだった。
冒頭で若者が電車内でもどんちゃんやっているのにはうんざりで、酒は温めの燗がいい、肴はあぶったイカでいいとしみじみ思った。
この映画を観ていると何でもほどほどがイイものだと思う。また、晴れの日の酒はイイものだとも思う。妻と上手くいかず、酒に頼ったり逃げたりはダメだ。大事なことは早めに素面で言うに限る。主人公の友人が孤独をまぎらわすため酒を飲んで飲んだまま愛犬とボートに乗って海(湖?)に出て事故を起こすなんて悲しすぎる。とまあ、半分はそういう作品だった。
そして、もう半分は、マッツ・ミケルセンの魅力が満載なのであった。

主人公のマーティンは、今まさにミドルエイジクライシス真っ盛り。妻としっくりいかず、子どもは親を無下にする時期だし、教室では授業に身が入らない。若かりし頃の活力はどこへやら、自信もなくなり内向的になるばかりか、無気力になっている。友だちから「何かあったのか?」と水を向けられると酒が入ったせいか素直になって(?)涙がにじむ。いいね♥、いいね♥、涙をぬぐうミケルセン。永遠に泣いてほしい(笑)。
妻との関係がまずくて仕事にまで影響していたのが、アルコールのお陰で授業が生徒から好評となり、自信が持てて今度はアルコールなしで妻との関係が改善するという家庭と仕事のリンク具合も面白く、活力のあるミケルセンも見れるし~。
妻が浮気を認めたときの激怒の様子も哀しみ交じりでよかった。そうか、そこが核心だったかと納得。
最後には「待ってました」、予告どおり踊ってくれる。あんまりカットを割らないでほしかったけれど、カッコよかった~。めでたしめでたし。
(2022/01/24 あたご劇場)

ハウス・オブ・グッチ

はははは(^o^)。面白かったー!!!グッチ家のお家騒動とも言うべき喜劇だった。オペラとかポップスとか色んなジャンルの歌が嵌まっている。歌詞がわかれば更に笑えたのかも。
グッチ家の方々は決して愉快ではないだろう。私はかすりもしてない(グッチ製品を買ったこともない)ので、ちょっと悪いなとは思いつつも大いに楽しませてもらった。天下に名の知れた一族は何かと気の毒だ。

(1)リドリー・スコット御大の快作
(2)ゴシップ記事があとを絶たないわけ:こんだけ面白かったらなくならないと思う。
(3)魅力的な悪女の描き方:半分占い師のせいにする。
(4)金持ち三代続かず?
(5)やっぱり面白いファミリー映画
*親子で賞:パオロ(ジャレッド・レト)とアルド(アル・パチーノ)
(2022/01/14 TOHOシネマズ高知4)

Summer of 85

青春とは斯くも滑稽なものなのか。彼らほどではないにしても自分の若い頃を振り返って若干恥ずかしくなった。
天使もうらやむハネムーンから一転、永久の別れに身も世もないほどの嘆きと後悔、そして、遺体との対面に真剣な誓いの実行。やたらと眩しい。
シニア料金になったと浮かれて観たら、自分が随分年を取ったと実感させられた作品だった。
(2022/01/15 あたご劇場)

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

20年間シリーズを見続けた人へのご褒美のような感動作と聞いて観る気になったのだが、『アメイジング・スパイダーマン』の続きを観たいと思っていたのに『2』が公開されたのも気がつかなかったし、トム・ホランド版は全く観ていない。果たして、私にとって感動作となるのであろうか???

ピーター・パーカーとその友だちとMJの三人が仲良しなのでビックリ(笑)。トム・ホランド版は明るくお茶目なんだ~。これもまた良し。
ヒーローものは主人公が可哀想であればあるほど面白いし、なんらかの犠牲を払ってこそのヒーローだと思っているので、そこらへんをしっかり踏襲したうえで、スパイダーマンの初心忘るべからず(ノブレスオブリージュ)を復唱し、墓場では終わらなかったけれど、ちゃんとお墓参りのシーンはあるし、なかなか感慨のある終わり方で満足、満足。私にとって感動作とは言えないが、観てない作品も観たくなった。

グリーンゴブリン(ウィレム・デフォー)とドクター・オクトパス(アルフレッド・モリナ)の登場は嬉しい。特にドクター・オクトパスの造形が好きなので、こちらメインで暴れてくれて凄く楽しかった。二人の役者もキャラクターの二面性の演じ分けが笑えるくらい上手いし。
あと、アンドリュー・ガーフィールドはよしとして、トビー・マグワイアが老けているのが胸に痛かった。2002年の公開から20年。こちらもなかなかの感慨だった。
(2022/01/12 TOHOシネマズ高知4)