少年の君

シャオベイ(イー・ヤンチェンシー)が高橋大輔に見えてしかたなかった(^_^;が、たいへんドラマチックなラブストーリーで感動した。
ニェン(チョウ・ドンユイ)とシャオベイの境遇は、「傷だらけの青春」という言葉がうすっぺらく思えるほど、あまりにも現実味を帯びていて胸が痛んだ。孤立無援の状況は二人の結束を強めるものだから恋愛映画の定石と思えばよかったのかもしれないが、現実世界のいじめや子どもの貧困がちらついて、益々胸が痛むのだった。
それでもドラマの運びは確かなもので、ニェンをいじめ抜いていた女子が死にシャオベイが殺人の容疑で逮捕されると、火曜サスペンス風味も出てきて物語にぐいぐい引き込まれるのであった。

誰かを愛しく思ったり、慕ったり、堅い信頼で結ばれる。それは美しいものだ。
ニェンとシャオベイの取調室を交互に映して二人の結びつきの強さを表現したところは『アタラント号』を思い出したりした。

偉いな~と思ったのは、若手の刑事さん。ニェンの重荷になる嘘を上手い嘘で下ろさせた。真相を話した後、シャオベイと対面し、二人、涙をにじませながらの笑顔がまぶしい。心の中の言葉が聞こえてくるようだった。ここまでくると珠玉のラブストーリーと言うにふさわしい。

中国の大学入試共通テストの様子が描かれていて面白かった。貧富の差やいじめの構造など、どこまでグローバルなんだろう。
(2021/12/24 あたご劇場)

劇場版 きのう何食べた?

ジ、ジルベール!?
美少年を期待したら、そうでもなかった(^Q^)。中身のことだった。

今年観た映画の中で一番笑ったような気がする。愛する人が死ぬかもしれないと思って死ぬほど心配したり、取り越し苦労とわかってほっとしたり、悲喜こもごもがマンガチックなオーバーアクトもピタリとはまり、笑い9分に泣き1分の楽しさだった。

主軸はシロさん(西島秀俊)の両親(梶芽衣子、田山涼成)が、シロさんのパートナーであるケンジ(内野聖陽)に来てほしくない問題。頭ではわかっていても生理的に症状が出てしまう母親。ケンジにとってもシロさんにとってもかなりキツい状況だ。それでも今のところ、理想に向かってよいステップを踏み出した格好になっていると思う。シロさんは年始はケンジと過ごすことにするし、両親と不仲になるわけではない。ケンジも実家に行ってあげてねと言ってくれる。
登場人物が脇役まで皆、クセはあってもいい人ばかりなので、理想的な世界に思えてきた。
(2021/12/22 TOHOシネマズ高知1)

ラスト・ナイト・イン・ソーホー

久々に健全な娯楽映画を観たような気がする。とてもよかった。ベリーグー(^o^)。
ホラーと聞いていたが、恐いところは少しで、慣れると笑えるくらいなもので私には丁度よかった。
それにしても古今東西、若い女性が搾取され続けている現実にむかついているから、ヒモも客も殺されてめでたい(^o^)。
殺した人には天罰(?)が下るし。主人公は死なない(^o^)。

そして、娯楽映画のなかに「助けを求めてください」というメッセージがあるのが嬉しい。
エロイーズ(トーマシン・マッケンジー)がデザイナーになる希望を胸にロンドンに出てきて、重たい荷物に手こずっているのを手伝おうかと言ってきた青年を警戒して断る。田舎の祖母はエロイーズを心配して「困ったら助けを求めるのよ」と電話で諭す。なかなかSOSを出せない彼女だったが、追い詰められたとき遂に助けを求めて、めでたしめでたし(^o^)。
若い女性には若草プロジェクトっていうのがあるらしいし、若草じゃなくても人生ピンチのときは諦めずに助けを求め続けてほしい。諦めなければ何とかなる。
(2021/12/15 TOHOシネマズ高知4)

あのこは貴族

貴族も平民も女子は生きにくいですなぁ。男子も生きにくいかもしれないけれど、この映画では女子が主役なもので。
華子(門脇麦)は、結婚するまでは特に息苦しくはなさそうだった。結婚してから日々虚しく過ごすうち、家系に縛られていることに気づいたのかもしれない。それで夫と関係のあった美紀(水原希子)の部屋を訪れて、別な生き方があることを知ったということだろうか。
美紀はお金がないゆえの金縛り人生。仕事はあっても女性の賃金は安いので、先行きがやっぱり不安なのだ。

華子と幸一郎(高良健吾)との結婚を機に、幸一郎と別れた美紀。その後、虚ろな結婚生活に終止符を打った華子。
二人とも男性に依存しない道を選んで生きていく結末。イイ時代になったものじゃ。女性に依存しない男性を主人公にした映画ができたら猶よい。

華子の友だちのバイオリン弾きの女性が言っていた「女性同士が敵対するのはおしまいにしたい」というような意味のことは作り手の気持ちだろうと思った。
美紀とその幼なじみが、いっしょに故郷で事業を興すことに決め、自転車の二人乗りをするシーンは、『キッズ・リターン』のラストのようで、「ここで終わりか?終わってもいい」と思ったが主役は貴族であった。自立した華子に幸一郎が目をとめるのがラスト。そりゃあ、まぶしく見えるでしょうとも。でも、よりを戻すことになったらガッカリだ。
(2021/12/03 あたご劇場)