カラヴァッジョ 天才画家の光と影

主人公が光にこだわった画家だけあって、映像もめちゃめちゃ光にこだわっていた。デル・モンテ枢機卿から与えられたアトリエや、豪華天井の宮殿の明るさやあばら屋や石牢などの暗い建築物の天から差す光、そして、カラヴァッジョの絵画そのものを照らす光。コントラストが効いていて赤色もカラヴァッジョのイメージを損なうものではない。暗いところで、よくこんなに撮影できるなぁと思った。でも、残念なことに私には猫に小判であった。ひょえ~、美しい~とは思えなかったんだもの(涙)。
それよりカラヴァッジョの絵を次々と連想ゲームのようにつなげていったタイトルバックに興奮した。美しくスピーディなつなぎが小気味よく、もう4、5回は続けて観たい。
この映画を観ていると、皆、才能があるからというだけでカラヴァッジョを救おうとしたのではないと思う。彼にはそれなりに可愛いところがあるのだ。たとえば、子どもの頃、もらった剣を後生大切に持っているなんて、あげた者からしたら嬉しいぞ。だから、主役の俳優(アレッシオ・ボーニ)がもっと魅力的だとよかったのに。
こう書いてくるとつまらなそうに思われるかもしれない。そういうわけではなく、面白かったんだけどなぁ。
Caravaggio 監督:アンジェロ・ロンゴーニ
(高知県立美術館 2011/05/15 高知県立美術館ホール)

岳-ガク-

三歩を旬くんが???と思っていたけど、予告編で行けるかもと確信のようなものを得て、観てみたら行けた。
お話のご都合主義もディテールの嘘臭さも演出のいまいち加減も、ハートがあれば帳消し。それどころか差し引きプラス。「生きている限り生き抜く」というハートが伝わってきて感動した。それもこれも旬くんのおかげだ。
島崎三歩(小栗旬)
椎名久美(長澤まさみ)
監督:片山修
(2011/05/08 TOHOシネマズ高知7)

トゥルー・グリット

わはははは!笑った~!
美しいシーン。涙が出た~。
思いもよらぬ筋書きがいい。
魅力的で可笑しい登場人物がいい。
音楽、泣かせる。
映画している。
『ミラーズ・クロッシング』のコーエン兄弟が帰ってきたという感じだ。
[追記]
『ミラーズ・クロッシング』で森の中を帽子が風に舞っていくシーン。あのワンシーンがあるだけで「よかった~」と思い出すことしばしばだった(特に『ファーゴ』以降)。今後、コーエン兄弟と言えば、コグバーン(ジェフ・ブリッジス)がマティ(ヘイリー・スタインフェルド)を抱えて馬を駆るシーンを思い出すだろうなぁ。
背景に輝く星。コグバーンの真面目な顔。熱で紅潮したマティ。汗だらけの馬。長い距離。これだけでも美しく泣かせるのに、音楽(うるる~)。映画という夢の中で、またもう一つの夢を見ているようだった。
時を経て、マティがウエスタンショーへ赴いたが一足遅く、コグバーンは亡くなったと聞いて、そばにいたショーのおじさんに「ぼけなす!」と八つ当たりしたのには目が点になった(笑)。おいそれとは泣かん子や!そう思いながらも、身寄りのないコグバーンが会いたいと言っていたのに(マティも会いたかったのに)会えずじまいだったことや、老いては保安官をリタイアし身すぎ世過ぎのためにショーに出てたんだろうなとか、時の流れと人の思いが心にしみてきて何とも味わい深かった。
ラビーフ(マット・デイモン)
チェイニー(ジョシュ・ブローリン)
ラッキー・ネッド・ペッパー(バリー・ペッパー)
TRUE GRIT 監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
(2011/05/07 TOHOシネマズ高知1)

ザ・ファイター

なぜか昔からマーク・ウォルバーグが好きで、『ラブリー・ボーン』でも「やっぱり、いいなぁ。もう、父親役が来る年なのねぇ。」と思って観ていたけれど、今度もとてもイイ!
仲のいい一族は排他的というのは、これ本当。しかし、この一家には笑わせてもらった。喜劇、喜劇。家族の話はやっぱり面白い。
最後の試合のシーンは最高に盛り上がった。
ミッキー・ウォード(マーク・ウォールバーグ)・・・・試合に負けて好きな女性に電話できない。そういうところがイイ!
ディッキー・エクランド(クリスチャン・ベイル)・・・・哀しくて可笑しい人物。
シャーリーン・フレミング(エイミー・アダムス)・・・・ミッキーの姉妹とつかみ合い。ミッキー一族と渡り合う姿にど根性愛を観た!大好き。
アリス・ウォード(メリッサ・レオ)・・・・天皇。
ジョージ・ウォード(ジャック・マクギー)・・・・好き好き(^o^)。シャーリーンを息子に薦め、妻と継子を試合から外す。いいお父ちゃんやー!アリス母ちゃんに踏まれても蹴られても耐える!両手を合わせ拝みたくなるような、素晴らしい人物。
THE FIGHTER 監督:デヴィッド・O・ラッセル
(2011/05/07 TOHOシネマズ高知1)