2004年舞台(生)もの

3月  デヴィッド・ボウイ「リアリティ・ツアー」(大阪)
3月  野村萬斎「能と狂言の会」
6月  一の宮咲子バレエ研究所「リーズの結婚」
7月  十一代目海老蔵襲名披露公演 松竹座(大阪)
7月  ルグリと輝ける仲間たち(福岡)
8月  かんてもす演奏会
8月  文楽と落語のジョイント
9月  十一代目海老蔵襲名披露公演 御園座(名古屋)
9月  ルジマトフのすべて(東京)
10月 宝塚宙組「風と共に去りぬ」
11月 東京バレエ団「ジゼル」(東京)
11月 谷口英治&スインギン・サミット
11月 Noism04「black ice」
その他、印象深いパフォーマンス
『ミステリアス・ピカソ 天才の秘密』上映会での日比野克彦さんの前座
『魂のアソコ』上映会でのジーコ内山さんの「さそり〜」

スインギン・サミット

うん、なかなか楽しいコンサートでした。>谷口英治とスインギン・サミット
軽快で上品。とても聞きよい、こなれたジャズでした。
いっしょに行った友達は、ギラギラしてなくてよいと言っておりました。お人柄が出るからね〜とも。
谷口さんのクラリネットの音色が大変よろしいですね〜。
音が粒だっているというか、一つ一つの音がちゃんと綺麗に出て、それがつながって曲として聞こえるって感じで、それは弱く吹いても強く吹いても裏声みたいな(いななきみたいな)音のときでさえ磨き抜かれた音。だから品よく聞こえるのかもしれないですね。
おしゃべりもお好きなようで、結構受けてましたよね。ジャズ初心者でも楽しめるように、コード(和音)進行の中で元のメロディとは違ったメロディを作って行くんだよー(←これが即興)と説明してくれて、リパブリック讃歌(タロさんの赤ちゃんが風邪ひいた)で実演。
また、即興が成功すると当人が悦に入ってニヤニヤし、失敗すると他のメンバーがニヤニヤするので、そういうのを見てもらうのがライブの醍醐味だ(笑)とかお話してくれました。
裏拍子(2拍目と4拍目)で指パッチンしてねと観客も参加しての「大きな古時計」演奏も楽しく、お客さんもノリノリで2時間弱があっという間でありました。
1 ソフト・ウィンズ
2 スイート・ジョージア・ブラウン
3 ムーン・リバー
4 リパブリック讃歌
5 スターダスト
6 A列車で行こう
 (休憩10分)
7 イン・ザ・ムード
8 セント・トーマス
9 大きな古時計
10 鈴懸の径
11 メモリーズ・オブ・ユー
12 君去りし後
 (アンコール:リクエストに応じて)
 茶色の小瓶

印象派と西洋絵画の巨匠展

う〜ん、なんだか統一感に欠ける展覧会でありました。
それに展示作品の一覧表さえ配られてないもんな〜。私はめったなことでは図録なんて買わないので、一覧表をよすがに作品を反芻するのよ。今回それが出来ないのでブーイングだわ。
今回は県立美術館が主催じゃないから、年間観覧券の効力もないしさ(ぷんぷん)。
印象に残ったのは、絹のソファーに女の子がもたれている作品。あの布の輝きは素晴らしいですね〜。
それから、クリムトの左向きの少女の絵。少女の表情にもの凄いパワーがあって(なんか一心に考え事をしているので、あらぬ方を凝視しているかのように見える表情)、それをそっくり写し取ったクリムトの筆さばきと逆光を生かした画面構成に衝撃を受けました。
あと、ピカソはどんな絵を描いても力があって、なんだか悔しい。負け知らずの横綱みたいに憎たらしい(笑)。
デ・キリコは、見てみたかったんだけど、見たらイマイチ。マルグリットもあんまり上手じゃないねー(爆)。ひらめき勝負ってとこがよいわね。この二人の絵は思ったよりサイズが小さかったですね。ウォーホルは、思ったより大きいサイズでした。
「犬」と「女性」と「男性とリンゴ」の版画(?)の作者は誰でしょう?気に入ったのですが。
常設展1階では、土陽美術展をやっていて、石川寅治がいいですねー。
昨年の寅治展、見に行けばよかったと思いました。

噂音菊柳澤騒動

11月12日に国立劇場で歌舞伎の通し狂言を見てきました。「噂音菊柳澤騒動」(かねてきくやなぎさわそうどう)と読み、100年ぶりの上演だそうです。
通し狂言というのは、みんなこのお芝居のように盛りだくさんなんでしょうか。ある幕では松健サンバもどきで笑いを取りーの、またある幕では義太夫で泣かせーの、はたまた大詰めでは大立ち回りがありーの、12時から4時半過ぎまでたっぷり楽しませてもらいました。
非常によく出来た芝居で、将軍(菊之助)に自分の妻(時蔵)を差出し出世しようとする侍(菊五郎)と、若旦那(菊之助)に女房(時蔵)を差出し身代を築こうとする町人(菊五郎)。身分の上下に関わらず色と金への欲は変わりがないことを交互に見せます。お上の話がそれからどうなったかは、下々の者が引き継いで見せるというわけです。
この見せ方がまずもって面白いうえに、看板役者数人がそれぞれ一人何役も演じるので、観客としては役者の変化も楽しめます。
ただし、大詰めの大立ち回りは、筋書き上なぜそうなるのか流れが不自然で、大詰めを盛り上げるために乱闘場面を用意したように思われました。
また、時蔵さんが柳澤の妻(ということは将軍綱吉の愛人)を演じるのはいいのですが、綱吉の正室まで演じるのはいかがなものでしょう。セリフを始めると、ちゃんと別人になっていましたが、それまでは「あれ?柳澤の妻?」と思ってしまいました。
ここは、時蔵さんには思い切って老け役をやってもらいたかったな〜。四幕の三間右近(菊五郎)の母をやってくれたら、下女おしづ(菊之助)ともども、主役の三人が全五幕に出ずっぱり!再演の際には、是非ともそうしてくださいまし。
えー、さてー、私の好きな菊ちゃんは(菊之助の方ね)、将軍綱吉の和歌を愛する初心な時代から生類哀れみの令を出すような殿様への変貌ぶりも上品に、木目細かに演じておりました。上手いです。(若旦那は若すぎると思ったけど。というのは相手役の時蔵さんの姉さんぶりと比較してです。)立役もいいわ〜。きれいだもんね〜。
でも、下女おしづには泣かされた〜。右近に求婚されて嬉しいけれど身分違いゆえ心ならずも断る次第。右近とその母が自害したのを見ての驚愕の面持ち。身をもみしだく様のいろっぽさ。心からの表情が、顔だけじゃなく身体全体で表現されていて感動しました。
菊五郎さんは、見得を切るときとっても上品なのね。菊ちゃんもお父さんの芸を引き継いで、やりすぎないのだわ。
あ、そうそう、大立ち回りのとき、セリフをとちった人がいて(そのとちりぶりがあまりにも派手だったもので本人も会場も笑ったのですが)、菊五郎さんまで吹いていたのが可笑しかったです。やはり、生の舞台っておもしろいですねえ!
うわーーーーー!!!!これを忘れちゃいけない。
綱吉、柳澤奥方おさめ、柳澤の三人の関係をずばり見せた三幕一場がとてもよかったです。柳澤が操る綱吉人形とおさめ人形が艶っぽい関係になるという踊り。幻想的で夢のよう。と思ったら、次の場で若旦那とおりうが見た夢で・・・・・とつながります。芝居(すじがき)の流れとしてもいいし、菊ちゃんの人形振りが見れるのもいいし、この最高の場面を書き落としちゃダメダメでした〜。
ご機嫌!歌舞伎ライフ噂音菊柳澤騒動レポートをご覧ください。