レームブルック展図録

高い、重い、場所を取るので買わないことにしているカタログを買ってしまった。
印象に残る展覧会は数あれど、四半世紀以上(?)も前に名古屋で観たゴッホ展、2005年のベルリンの至宝展(エジプトコーナー)、そして、2004年のレームブルック展がベストスリーだ。(ベルリンの至宝展は円山応挙展に差し替えようか迷うところ。)
三浦雅士さんが「バレエ入門」(新書館)で「妙なことを言うようですが、芸術というのは身体に効きます。素晴らしい絵は身体にいい。詩もそうです。精神の問題ではありません。身体としての問題です。呼吸が違ってくるのです。」(p259)とおっしゃっているように、上記の展覧会は脳細胞の隅々まで酸素がいきわたる感じがして疲れなかった。(三浦さんの定義では、人を無用に疲れさせるトリアー作品は芸術ではないが、『アンチクライスト』の冒頭のスローモーション・シーンは芸術ってことになるのでは?)

振り向く女(1914/ブロンズ/91.9×24.6×29.1cm/ヴィルヘルム・レームブルック美術館)
ブロンズなのに温かみを感じる。表現されているのは寒さや恐れのようだ。
本当の人間に比べると頭手足が長すぎる像がある。形がどんなでも、やっぱり人間らしい温かみを感じさせられる。そのうえで何らかの感情が伝わってくるところが素晴らしいと思う。
レームブルックは、日本語ウィキペディアに載ってないようで残念。
カタログの成果。彫刻。
「女のトルソ」兵庫県立美術館
「立ち上がる青年」愛知県美術館
「もの思う女の頭部(ほっそりした首の少女頭部)」(株)石本建築事務所
ヴィルヘルム・レームブルック←特別展の感想。
ヴィルヘルム・レームブルック展←高知県立美術館の解説。
レームブルック片付け←愛知県美術館ブログ。おもしろい!
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横尾忠則展 絵人百九面相

やっぱりY字路がよかった。Y字路シリーズあたりになると美しいと思える。始めは普通に描いていたのが、水中Y字路になったり、怪人二十面相が出没したり。不思議(幻想)絵画に移行していくのもツボだ。「バスカヴィル家の犬」風の絵があるのもホームズファンとしては嬉しかった。
その他の絵については、カラヴァッジョの「ユーデッド」や、その他観たことある絵画が引用されているのも面白い。ソフィア・ローレン似のマリア様や、麦わら帽子にギターを抱えた泉谷しげる風の人が棺桶の蓋に片足乗っけているのも。いろいろ、世の中を観ている人ほど楽しいのかもしれない。
いかにも高度成長期という絵があって、新幹線や東京オリンピックの行進や車の渋滞(?)などが描かれているその真ん中に、装束からタイのお坊さんとおぼしき人のシルエットがあって、よく観るとドスを持っている!これは高倉健ですね。じーっと観ていると発見の楽しさがある。
最後には売店を物色。絵画より商品化されたシャツやバンダナの方がよかった!
横尾忠則展 絵人百九面相
幻獣標本博物館-江本創の不思議な世界-
無料。素晴らしい標本だ。古いセピア色の標本ばかりなので、新しい標本も観てみたい。
The Professional Eye 2011
無料。5日まで。海の生き物の写真とビー玉に映った景色の写真がよかった。その他「いろ」というテーマで、それぞれのカメラマンが出品した作品もきれいだった。おすすめ!

腐った薔薇

薔薇
庭の薔薇~。(画像クリックで拡大できます。)
散りかけの薔薇も美しいと思うようになったのは、ゴッホの薔薇の絵(ひまわりを活けていた花瓶に白薔薇を活けて描いたやつ)のお陰だ。
ゴッホといえば、九州国立博物館で2月13日まで特別展の開催中。行くつもりだったけど、その気が失せてしまったのは、先に東京の展覧会を観た友だちが「30年前のカタログを見たけど、前の展覧会の方がいい絵が来てたみたい」と言っていたから(^_^;。そうは言っても、行けば今回もいいとは思うんだけどねぇ。アルルの寝室の実物大模型部屋が展示されているっていうし。
ただ、およそ30年前に名古屋で観たゴッホ展の思い出だけで、この先充分生きていけるなーとも思って、結局、九州国立博物館はまたの機会に行くことにした。
その30年前の展覧会では、果樹園の美しさに感動した。写真で見ても、そのよさが全くわからなかったのに、実物の輝きにふれて、ゴッホが南仏の明るさに感動したのがよくわかった。それと、この展覧会までは私にとって「炎の人」だったのが、「硝子の人」になった。キラキラ感といい透明感といい、繊細なガラス細工を見ているような感じだった。ティム・ロスが演じたゴッホがイメージに近いかな。もしかしたらロバート・アルトマンもゴッホを「硝子の人」と感じていたのかな。
九州国立博物館 | 特別展 『没後120年 ゴッホ展』
http://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s22.html

印象派と西洋絵画の巨匠展

う〜ん、なんだか統一感に欠ける展覧会でありました。
それに展示作品の一覧表さえ配られてないもんな〜。私はめったなことでは図録なんて買わないので、一覧表をよすがに作品を反芻するのよ。今回それが出来ないのでブーイングだわ。
今回は県立美術館が主催じゃないから、年間観覧券の効力もないしさ(ぷんぷん)。
印象に残ったのは、絹のソファーに女の子がもたれている作品。あの布の輝きは素晴らしいですね〜。
それから、クリムトの左向きの少女の絵。少女の表情にもの凄いパワーがあって(なんか一心に考え事をしているので、あらぬ方を凝視しているかのように見える表情)、それをそっくり写し取ったクリムトの筆さばきと逆光を生かした画面構成に衝撃を受けました。
あと、ピカソはどんな絵を描いても力があって、なんだか悔しい。負け知らずの横綱みたいに憎たらしい(笑)。
デ・キリコは、見てみたかったんだけど、見たらイマイチ。マルグリットもあんまり上手じゃないねー(爆)。ひらめき勝負ってとこがよいわね。この二人の絵は思ったよりサイズが小さかったですね。ウォーホルは、思ったより大きいサイズでした。
「犬」と「女性」と「男性とリンゴ」の版画(?)の作者は誰でしょう?気に入ったのですが。
常設展1階では、土陽美術展をやっていて、石川寅治がいいですねー。
昨年の寅治展、見に行けばよかったと思いました。