SF映画ベスト3(未決)

リウ・ツーシンの「三体」「三体Ⅱ黒暗森林」がめっぽう面白く、春に完結編の翻訳が出るというので楽しみにしている。それで(SFがマイブームのうちに)、決めかねていたSF映画ベスト3を決めないままアップしてもいいかという気になった。
すぐに浮かぶのが次のタイトル。

A.I.(2001)
オデッセイ(2015)
マトリックス3部作
 マトリックス(1999)、リローデッド(2003)、レボリューションズ(2003)
ターミネーター(1984)
ミッション:8ミニッツ(2011)

『A.I.』はスピルバーク作品の中でもお気に入りだ。■鬼の対談>A.I.でK君の言うとおり哲学的なところのある作品だ。神が人間にとって親のような存在であるように、A.I.を作った人間はA.I.の親として責任を持つべきではないかというような会話がある。そのように設定されたディヴィッドはもとより、人類が滅んで考古学に励むA.I.も親(ルーツ)を乞う話になっている。スケールのある映像と詩情のある幕切れが心に残る。

『オデッセイ』は人類万歳という気分になれる。宇宙飛行士は危機に瀕しても沈着冷静で創意工夫に富んでいた。科学と人間の命を不可分に描いている。また、人を救うのは科学だけではないということも。

『マトリックス3部作』は■鬼の対談>マトリックス 3部作の編集後記に記したように驚きの連続で大いに楽しませてもらった。公開されたのがパソコン、インターネットが一般に普及してきた頃で、その頃ならではの話だと思う。

『ターミネーター』は人類とスカイネット(AI)との戦い(ターミネーターとの追いかけっこ)を描いたタイムトラベルものに恋愛要素があり、1本で3本分の面白さ。おまけに低予算の安っぽさも楽しめる愛され作品だ。サラ・コナーをターミネーターから守るため未来からやってきたカイル・リース(マイケル・ビーン)が、当時世界最速の陸上選手カール・ルイスを思わせる名前であることも記しておきたい。

『ミッション:8ミニッツ』は、変わりタイムトラベルもの。複雑な話がわかりやすくて驚きだが、すらすら言葉に出来ないのでやっぱり相当に複雑なのでは・・・・・。どうかな?とにかく、話にも映像にもセンスを感じる。最後の方のスローモーションなんか美しい。

以下に好きな作品。きまぐれで過去の感想にリンクしています。

【AIもの】
エクスマキナ
ブレードランナー

【超能力もの】
X-MENシリーズ
サトラレ
キャリー

【時空間移動もの】
タイムマシン
バック・トゥ・ザ・フューチャー
バタフライ・エフェクト
テルマエ・ロマエ
時をかける少女
アルタード・ステイツ

【宇宙(人)もの】
猿の惑星
ゼロ・グラビティー
エイリアン
ヒドゥン
地球に落ちて来た男

【何もの?】
ミクロの決死圏
未来世紀ブラジル
ガタカ

抜かりがあってはいけないとSF映画を検索した。なぜかトップ30までしか載せてくれてない。
科学者や作家、映画監督が選んだ「SF映画ベスト100」
2020年7月11日 10:19映画.com7月11日 配信より

1.「2001年宇宙の旅」(1968)
2.「ブレードランナー」(1982)
3.「エイリアン」(1979)
4.「未知との遭遇」(1977)
5.「エイリアン2」(1986)
6.「スター・ウォーズ」(1977)
7.「未来世紀ブラジル」(1985)
8.「メトロポリス(1926)」
9.「ターミネーター」(1984)
10.「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」(1980)
11.「E.T.」(1982)
12.「遊星からの物体X」(1982)
13.「マトリックス」(1999)
14.「月に囚われた男」(2009)
15.「ストーカー(1979)」
16.「ターミネーター2」(1991)
17.「惑星ソラリス」(1972)
18.「トゥモロー・ワールド」(2006)
19.「ザ・フライ」(1986)
20.「禁断の惑星」(1956)
21.「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985)
22.「エターナル・サンシャイン」(2004)
23.「A.I.」(2001)
24.「12モンキーズ」(1995)
25.「ロボコップ(1987)」
26.「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」(1956)
27.「時計じかけのオレンジ」(1971)
28.「ラ・ジュテ」(1962)
29.「猿の惑星」(1968)
30.「ジュラシック・パーク」(1993)

『2001年宇宙の旅』はやっぱりという感じ。
『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』はトリロジーの中で一番面白いと思うので選ばれているのは嬉しいけど、なぜかSF映画とは思ってなかった。
私が見たタルコフスキー作品では一番面白かった『ストーカー』もSFだったのか~。『惑星ソラリス』は原作が面白かった。SFでの知的生命体は人類と意思疎通が出来るものが多いけれど(イカ型宇宙人とも意思疎通していたよね)、意思疎通できない生命体との接近遭遇の設定に驚嘆したものだった。
『トゥモロー・ワールド』の世界観、よかった!ストーリーは今一つ好きになれないが、やっぱり映像が素晴らしいと思う。
トゥモローと言えば『トゥモロー・ワールド』ほどではないが、思い出すのは『デイ・アフター・トゥモロー』だ。地球温暖化で北半球が氷の世界になるのも面白かったけれど、暖を取るのに図書館の本を火にくべるシーンが印象に残っている。『ザ・フライ』!忘れてた。セス・ブランドン(ジェフ・ゴールドブラム)の博物館(^Q^)。
『ジュラシック・パーク』もジェフ・ゴールドブラムが出演していた。恐竜といえばコナン・ドイルの「失われた世界」が傑作でチャレンジャー教授ものを続けて読んだものだった。映画の方もテレビで見て結構面白かった記憶がある。
映画はSFかファンタジーに分類できるくらい作品が多いので、忘れている作品がまだまだありそうな気がする。

2020年覚書(マイ・ベストテン)

アメリカと合作の『37セカンズ』を日本映画に数えて17本、外国映画23本。かるかん率、100%!
2020年は豊作で久々に10本を選べて嬉しい。基準は例年どおり好きという気持ち。今年は順位があって。

第1位『星の子』
第2位『ジュディ 虹の彼方に』
第2位『罪の声』
第2位『フォードvsフェラーリ』
第2位『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト』
第2位『家族を想うとき』
第7位『ジョジョ・ラビット』
第7位『パラサイト 半地下の家族』
第7位『37セカンズ』
第7位『バーバラと心の巨人』

『ジュディ 虹の彼方に』は、パソコン(DVD又は動画配信)での鑑賞でベストテン入りはめずらしい。『キャロル』と『アマンダと僕』はスクリーンで観ていたらベストテン入りしただろうなぁ。
『バーバラと心の巨人』は意外にも心に残っていた。作品の出来とは関係ないのがマイ・ベストテンだ。何年かすると忘れているかもしれないけれど、覚えているかもしれない。
次点は、『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』、『WAVES』、『下女』(意外にもよく記憶に残っている)、『彼らは生きていた』、『娘は戦場で生まれた』、『海辺の映画館 キネマの玉手箱』、『レ・ミゼラブル』、『浅田家!』、『淪落の人』、『朝が来る』、『星屑の町』。
見逃して残念なのは『キャッツ』。これはスクリーンで観なきゃダメでしょうと思い、行くつもりでいたのが諸般の事情で叶わなかった。

特別賞
『うたのはじまり』←感想へリンクしています。

ベストキャラクター
『星の子』のなべちゃん(新音)と新村くん(田村飛呂人)

DVDなどで印象に残ったもの
『キャロル』:ぜひ、スクリーンで観たい。併映は『シングルマン』で!
『トールキン 旅のはじまり』『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』:『シングルマン』にも出演していたニコラス・ホルトがどちらも主演。『ライ麦畑の反逆児』に軍配。
『ある少年の告白』『ベン・イズ・バック』:ルーカス・ヘッジズがどちらも主演。『ある少年の告白』に軍配。
『カプリコン1』:面白い!この頃のアクション映画は静かでいいなぁ。複葉機を操縦するじいさんがカッチョイイ。

ファンタジー映画ベスト3

私にとってのファンタジー三大監督。

テリー・ギリアム
『バンデッドQ』『未来世紀ブラジル』『バロン』『フィッシャーキング』
21世紀の作品をほとんど観てないのが残念だけど、これから観る楽しみが残されているの(^ー^)。

ティム・バートン
『シザーハンズ』『バットマン リターンズ』『ビッグ・フィッシュ』
哀しきダークファンタジー道を貫いてほしい。

ギレルモ・デル・トロ
『ミミック』『デビルズ・バックボーン』『ヘルボーイ』『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』
今のところ、監督作品の邦題がすべてカタカナ!今後もカタカナがつづくのか!?

映画は、ほとんどがファンタジーだという気もするけど・・・。特にアニメはファンタジー色が濃厚だ。そんな中、選ぶ必要もなくファンタジー映画というと真っ先に思い浮かぶ三作品。

『プリンセス・ブライド・ストーリー』
もう永遠にベスト3からこぼれ落ちることはないと思う。ロブ・ライナー監督作は『スタンド・バイ・ミー』も大好きだが、『プリンセス・ブライド・ストーリー』こそが彼の最高傑作だ。ピーター・フォーク演じるおじいちゃんが風邪引きの孫に読んで聞かせる物語が「プリンセス・ブライド・ストーリー」で、始めゲームの方がイイと言っていた孫がお話の続きを聴きたくなるという物語賛歌。あまりヒットしなかったらしいが、世界中に根強いファンがいるという。それはそうでしょう!ウイリアム・ゴールドマンの原作「プリンセス・ブライド」も借りて読んだが、めちゃくちゃ面白かった!

『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』
邦題が罪深い。アン・リー監督作品と知らなければ見逃すところだった。先日50歳代の若さで亡くなったイルファン・カーン演じる成人パイが、カナダ人ライターに少年期に家族で移住しようと船旅をしていたところ遭難し、トラと漂流したことを物語る。遭難するまでのインドでの三つの宗教に関わる生活が丹念に描かれる。象徴性に富んだ物語でネットの様々な感想も面白く、作品を理解する助けになった。それでもスッキリわかった感は乏しい。わからなくても面白いものは面白い!映像の美しさも特筆ものだった。

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ
「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」副題もいいねぇ。ウルクハイや戦闘場面などが好きではないが、これは外せない。「旅の仲間」を観てから「二つの塔」を観るまでの間に原作を読んだが、原作のイメージを損なうことなく灰色港まで描いてくれて「ありがとう(感動)」と思った。はじめ飲んだり食ったり、のんびりだらけたホビットにイライラしていたが、おしまいには尊敬するようになり、邪気がなく(食欲以外の欲もなく)平和に暮らすホビットこそ理想だと思うようになった。冒険物語は主人公が傷つきながらも生きて帰ってきて成り立つものであり、傷つかなければそれに越したことはない。今、私たちは冒険の最中で、やがてはどこかへ帰って行くのかもしれない。

ファンタジー映画 マイ・ベスト3(眺めのいい部屋:ムーマさん)

追悼:大林宣彦監督

4月に亡くなった大林監督は、以前、死者と生者をつなぐ映画(3)に書いたように「『愛される映画』と『愛すべきトホホな映画』をたくさん生み出した」。末期ガンだとわかってからも生きて映画を作り続けた。遺作となった『海辺の映画館-キネマの玉手箱』は当地でも上映予定で楽しみにしている。

大林監督の言葉で印象に残っているのは、二つ。
映画ナタリーのページ「あの日の声を探して」に寄せて大林宣彦が語る、フィクションの持つ力とは(2015年4月19日)より

「そもそも、映画っていうのは記録装置なんだ」と説明。「ただリアルな記録を見せても、それが拒否されれば風化してしまう」と人々が同じ過ちを繰り返しかねないことに警鐘を鳴らし、「フィクションには、“嘘から出たまこと”がある。たとえ絵空事でも、根も葉もあれば花が咲く。事実を超えた真実を伝えるのが劇映画というもの」と続ける。

裁判でも国会の議事録などの公文書でも新聞でも事実の切れ端はわかるかもしれないが、事実の奥にある本質を理解するのは難しい。物事の本質は、むしろ映画や小説などの創作物によってわかることの方が多いと思う。まずは感情でそれを受けとめて、あとで考えてみると本質により近づけるのだと思う。だから、劇映画で現実味の薄い表現があっても一向にかまわない。大林作品にいかにも創作らしい表現が随所にあるのは、そういうわけだったのだ。

もう一つの言葉は、対談で塚本晋也監督に向かって言ったという。
「僕は戦後の監督、あなたは戦前の監督」
大林監督の認識では、今はもう戦前なのか。晩年は戦争に関する映画が続いていた。塚本監督は、先輩監督の警鐘を受けとめて行動している。

『この空の花 長岡花火物語』の感想


追悼上映会のつもりで観てきた。
 ↓

『ÉMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』
面白い!大林監督の好きなものが詰め込まれた宝の箱のようだ。好きなものの四次元コラージュ。なんだか愛しくなってくる。もちろん、女の子もいる。帯を「あ~れ~」とほどかれる(笑)。20分くらいにまとめていたら完璧!

『可愛い悪魔』
面白い!「優しい悪魔」はキャンディーズに、「可愛い悪魔」は女の子が好きな大林監督におまかせだ。秋吉久美子はセリフがところどころ強くなるので、弱々しいばかりのヒロインは不似合いなんだけど可愛いから許す。悪魔っ子の女の子、なかなかやるな。ガラスの花瓶、ズボッ、くるくるくるくるは、思わず笑ってしまった。リアルにやられると気が滅入るので助かった!火曜サスペンスを始めから終わりまで見たのは初めてだった。
(2020/08/15 高知県立美術館 高知県立美術館ホール)