恋愛映画ベスト3

ちょっと前までは、『グッバイガール』が入っていた。しかし、最近見直して昔のような感動がなかった(寂)。雨の中、出ていく彼氏(リチャード・ドレイファス)を歓喜の表情で見送る彼女(マーシャー・メイソン)。彼氏が大事にしているギターを残して行った、帰ってきてくれるんだ!ギターを抱きしめ「待ってるわー!」という感動のラストシーンなのに。「あ~、ギターが濡れる~。」と思ってしまった。したがって、相変わらず面白くて好きな作品だがベスト3を転落。そして、今のところベスト3は次のとおりとなった。

  • ナイロビの蜂
  • エイジ・オブ・イノセンス
  • ラストコーション

『エイジ・オブ・イノセンス』を好きな理由は、笑えるからという(大真面目な作品に対して)不謹慎なもの。タイトルバックは官能の花~。オープニングはシャンデリアに舞踏場。中頃ではテーブルクロスにカトラリー、ご馳走もすごいでしょ、屋敷も衣装もいいでしょうと。スコセッシ監督が「ビスコンティみたいなのを撮ってみたかったのよ~(嬉々)」と言っているようで、面白~い(^o^)。
アメリカからヨーロッパの貴族に嫁いだ伯爵夫人にミシェル・ファイファー。これはミス・キャストなのかどうなのか、彼女はキャットガールや『恋のゆくえ ファビュラス・ベイカーボーイズ』など蓮っ葉女が似合うのに。本来は奔放なのに似合わない世界(ヨーロッパにしても当時のアメリカにしても)に息苦しい思いをしている女性という役柄には合っているのかもしれない。でも、とあるシーンが猫背気味で、笑いが取れる歩き方!
一方、ダニエル・デイ・ルイスは、言うまでもなくエレガントなのだが、恋に妄想はつきものであり妄想から覚めるところもエレガントに演じていて密かに笑えてしまうのだ。くすぐったいんだよ~(笑)。
二人が互いの肉体を求めて右往左往するのも現代の道徳感や社会の状況からすれば笑いそうになるところかもしれないが、ここは笑わず浪漫に浸れた。そして、確かに恋だったもの(苦しみ)が長い歳月の間にまぼろし化して、儚いがゆえに美しいものに変わった感慨を感じさせる珠玉のラスト。
あ、あとウィノナ・ライダーが素晴らしい!主役の二人に拮抗しなければならない脇役(1対2で分が悪いのに)を演じて奇跡のように完璧なのだ。

『ジョゼと虎と魚たち』もよい作品だったな~。でも、浪漫がないのが苦しい。『ラスト、コーション』は苦しいのに浪漫がある。私にとって恋愛映画に浪漫は必須のようだ。

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ナイロビの蜂
ジョゼと虎と魚たち
ラストコーション

ドボン映画ベスト1

ドボンと落ちてなかなか抜け出せない。そういう体質ではないが、若いときに観た『ディア・ハンター』などは衝撃的で次の映画を観る気になれなかった。『旅芸人の記録』は、初めて観たときは全然わからなかったのだが、惹きつけられるものがあり4回くらい観た(入場料を払ったのは2回かな)。『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』は、ただただ楽しく、とあるシーンを観たくて(どのシーンか忘れてしまったが)何回も通った。『プリティー・イン・ピンク』は、ダッキーが歌うシーン(二つある)を観たくて通った(その際、同時上映の『トップ・ガン』はパス。後にヴァル・キルマー好きになったが、『トップ・ガン』ではノーマーク(^_^;)。名画座で上映されるたびに観たのは『タクシードライバー』『スケアクロウ』『エデンの東』『冒険者たち』。一度しか観ていないが、記憶だけで全シーン(のつもり)を順番に書き留めておくことが出来た『暗殺のオペラ』。原作まで手を伸ばしたのは、『戦慄の絆』『ある貴婦人の肖像』(そこからヘンリー・ジェイムズにドボン。)『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』『華麗なるギャツビー(ディカプリオ版)』など。サントラ、DVDまで買ったのも色々あるなぁ。総じて浅い沼にしか落ちていない。

比較的深い沼に嵌まったのがこれ。『大いなる遺産(1998)』だ。


監督のアルフォンソ・キュアロンは緑色が好きとのことで、初期の作品はよく緑を使っていたみたい。『大いなる遺産』ものっけから緑が印象的ですぐに引き込まれた。とにかく映像が美しい!音楽もジャンルはバラバラなのに不思議と統一感がある。イーサン・ホークとグィネス・パルトローはどちらも好きな俳優だし、ロバート・デ・ニーロにアン・バンクロフトも出演!イーサン・ホーク演じる主人公フィンが描いた絵として出てくるフランチェスコ・クレメンテによる作品群もイイ!(パンフレットによると、クレメンテさんは『グッド・ウィル・ハンティング』で主人公ウィルの催眠療法士に扮していたそうだ。)お話は原作がディケンズだからして悪いはずがないと言いたいところだが、当時ニフティの映画フォーラムでは中身がないスカスカの脚本と叩かれていた。しかし、この映画が大好きになっていた私は4回は観たし、CDもスコアとコンピレーションの両方を買って聴いていたし、原作も読んだ。もちろん、同監督の『天国の口、終わりの楽園』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』も追いかけた。ハリー・ポッターの二作目をキュアロンが監督しなかったら一作目で観るのを止めており、皆勤も果たせなかったと思う。未見の『リトル・プリンセス』、見たいな~。『ローマ』も。

そうそう、若作りは返って老けて見えることを教えてくれたのもこの映画だ。子ども時代(子役が演じる)から二十代の長きに渡る話で、成人前の十代を演じたイーサン・ホークはグィネス・パルトローよりマシだったが、グィネスは若作りの服が致命的に似合ってなかった。似合っていれば大人びた十代で行けたかもしれないのに。似合う服を身につけるって大切なんだと思った。
そういえば、クリス・クーパーをこの映画で好きになって、その後『アメリカン・ビューティー』を始め、よく見かけていたが、最近、どうしているんだろう。ラストシーン、海辺の家にフィンが帰ってきたのを(気まずい別れをしたのに)、よう来た、早う入れという感じでおしりをポンとたたくおじさん。よい役だった。


こんなのまで書いていた。→『大いなる遺産』場面再録

ミュージカル映画ベスト3

映画をジャンル分けするのは、あまり意味のないことかもしれないけれど、『グレイテスト・ショーマン』鑑賞記念に好きな作品を選んでみた。

  • サウンド・オブ・ミュージック
  • ケネス・ブラナーが真似っこするくらいだから~(笑)。名曲づくし。あらゆる困難を乗り越えてすべての山に登れ。見ただけで自然と力が湧いてくる。

  • イースター・パレード
  • アステア作品では、これ!アステアがスローモーションで、背景の人々が通常モーションの場面にトリハダが立った!ジュディ・ガーランドがめっちゃ可愛いし。レストランでウエイターがサラダの説明に「ミックス、トースト」言うのが、ちょー笑えたし。

  • ムーラン・ルージュ
  • ははは!笑うでしょう、これ!ボヘミア~ン(笑)。だけど、体力があるときに見ないと疲れる(笑)。

『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』は、インド映画に分類するもんね~。
『トップ・シークレット』は、コメディNO.1だし~。
クラシックやロックの音楽映画で選んでも面白いかも(^o^)。

C階段

eiga.comの藤山直美に阪本順治監督がヘアヌード要請!?「このおっさん、何考えているか分からへん」を読んで笑った。『顔』以来16年ぶりのタッグという新作『団地』、見たいな~。
その記事の下あたりにイザベル・ユペール主演、フランスの団地映画「アスファルト」9月公開というのもあった。「団地」つながりで2本立てにしてもらえたらイイな~。フランスにも団地があるのか、パリのアパートとはまた違うのかな?などと思いを巡らせているうちに、思い出したのが『C階段』(ジャン=シャルル・タケラ監督/1985年)だ。

C階段趣は異なるけれど日本の長屋話みたいな人情もの。皆の共有スペースである階段が長屋の井戸端にあたると思えばいいだろうか、C階段を使う住人の悲喜こもごもが描かれている。
主人公の若造(気鋭の美術評論家)がなかなか魅力的だ。エライ生意気で「ボッシュ礼賛、ルノアール痛罵」、とんがっていて(金持ちのぼんぼんというのを隠している)皆に嫌われそうなんだけど、育ちのよさでしょうかねぇ、ワルぶっても憎めなくて人の良さが透けて見える。でもって子どもには懐かれてしまう(^Q^)。

ボッシュ 快楽の園この映画で初めてボッシュという画家を耳にした。気持ち悪いけど、笑っちゃうくらいに面白い。

ルノアールの方は聞いたことも見たこともあったけれど、その頃の私は主人公と同じくルノアールのよさがまったくわからず、その生ぬるさが嫌いで、裸婦像のありえない豊満さに引き気味だった。(今となっては「ありえないこともない」と身をもって感じているが。)だから、ルノアールに関しては主人公に同感だったわけだが、C階段で人にもまれて角が取れてきた主人公は、「じょうろを持つ少女」を見て感動し、素直な涙を流すのだ!更に驚いたことに、私までも「ルノアールっていいなぁ」と感動していたのだ。それほど「じょうろを持つ少女」は美しかった。輝いていた。以後、私のルノアールを見る目は変わった。

この仕掛けというか演出は、その頃から感じていた。C階段とアパートは暗く閉塞感(セットっぽい)があるけれど、「じょうろを持つ少女」は明るく開放感のあるシーンになっていた。もう忘れてしまったが、音楽も付いていたかもしれない。とにかく、この絵を美しく印象的に見せることに作り手はかなり心を砕いていたと思う。おかげでルノアールの絵の大らかさ温もり、日常(人生)への肯定感を感じ取れるようになった。

ラストシーンは主人公が遺灰を撒くシーンだったと思う。遺灰撒きシーンで今思い出せるのは『C階段』『君がいた夏』『マディソン郡の橋』くらいだ。コレクションしていたのに・・・、やっぱり記録していかないとダメだなぁ。

人情もの、主人公のキャラクター、ルノアール、遺灰撒き。映画史に残らなくても大好きな作品だ。

じょうろを持つ少女